革靴に防水スプレーは必要?対策をすれば長持ちする理由

革靴を買ったはいいけれど、これまで一度も防水スプレーをかけたことがないという人は、決して少なくありません。革靴のことをしっかり理解して履きこなすには、ある程度の知識が必要です。革靴の手入れが行き届いていない人は、その状態を見ればすぐに分かってしまいます。実はビジネスシーンで「足元」はとても大切。汚れていて状態の悪い革靴を履いているのを見られると、文字通り足元を見られます。革靴の手入れは社会人のたしなみなのです。そこで今回は、革靴をきちんと履きこなすための基礎知識「防水スプレー」について、みなさんに紹介していきたいと思います。

防水スプレーを革靴に塗る意味と役割は?

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革靴に防水スプレーを塗る理由について説明します。

防水スプレーを革靴に塗る意味と役割は?

革靴に防水スプレーをかける意義を理解するためには、革靴の素材である「革(皮)」がどんな性質のものかを知る必要があります。革には弱点があります。それは水です。革はとても水に弱く、触れると性質が変化して、縮んだり伸びやすくなってしまうのです。もともと革は、よほどの高熱状態でなければ変形しません。革が乾燥している時の耐熱温度は約120℃程度と言われています。しかし水に塗れると、革の耐熱温度は60℃~100℃まで下がってしまいます。しかも革は、一旦変形すると元にはもどらないという特徴があるので、耐熱温度が下がった時に形が変わってしまうと、型くずれを引き起こしてしまう恐れがあります。水に塗れると、こうしたリスクがあるわけですね。
そのため、防水スプレーで表面をコーティングして撥水(はっすい)加工を行うことは、なににもまして革靴に不可欠な対策なのです。

革を水気から守るためにスプレーを塗る

革の表面に付着した水が蒸発すると、その表面は乾燥します。それは、手についた水が乾燥してカサカサになる原理とほぼ同じです。皮の表面が乾燥するとどうなるのでしょうか? もちろん、潤いを失った手や足のかかとのように、ガサガサにひび割れてしまいます。防水スプレーのコーティングを施していない革靴を雨に濡らせば、当然、革の表面が直に雨の影響を受けてしまいます。それを放置しておけば、あっという間にひび割れ状態に陥ってしまうでしょう。防水スプレーで表面に膜を張っておけば、雨水に耐えることができます。

また、革靴の加工の仕方にもよりますが、防水スプレーをかけていないと雨水で色落ちをしてしまう可能性があります。長年履き続けてお洒落に色落ちさせるとビンテージ感が出ますが、雨に晒されて色落ちした革靴は恰好がつかないので、しっかりと防水スプレーでコーティングしておくことをオススメします。

コーティングして汚れを防ぐために塗る

防水スプレーには、他にも使う意義があります。それは、付着する汚れから革靴を守るという役割です。革靴をピカピカに仕上げる作業は、基本的には靴磨きです。しかし靴磨きをしても、汚れは付着してしまいます。それは仕方のないことですが、防水スプレーをかけて表面をコーティングしておけば、ある程度の汚れには耐えられます。

革靴に防水スプレーをかけないデメリットは?

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革靴に防水スプレーをかけないデメリットについて説明します。

革靴が濡れやすくなって形がくずれる

上述したように、防水スプレーをかける最大のメリットは、革を雨に塗らして型崩れを起こさせないようにすることです。逆に言えば、防水スプレーを怠ると、型崩れのリスクを負うことになります。革靴はその美しいフォルムが魅力の靴。長く履き続けるには、やはり型崩れを防ぐしかないでしょう。型崩れした革靴はかなり見た目が悪く、ビジネスシーンではとても履いていけません。くれぐれも気を付けてください。

革靴が濡れて匂いがしみ込んでしまう

もともと革靴は通気性が良くないので、革靴が雨に塗れて中にまでしみ込むと、足の体温で温められた水気のせいで蒸れてしまいます。蒸れた革靴の臭いがどんなに最悪か、みなさんも想像がつくはずです。脱いだ時もむわっと嫌な臭いがするし、生乾き状態の革靴の中も冷たくジトジトしているので気持ちが悪いですよね。乾燥させないと、最悪の場合、匂いが染みついてしまいます。こうした状況に陥らないためにも、防水スプレーでコーティングしましょう。

革靴がひび割れて長く履けなくなる

革靴の最大の敵は、水。何度強調してもしすぎることはありません。不必要に雨に晒すと、その分だけ革靴の寿命が減ってしまいます。防水スプレーは、革靴を長く履き続けるために欠かせないのです。

防水スプレーの使い方のコツやポイントを紹介

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ここでは防水スプレーの使い方について説明します。

スプレーをかける手順とは?ポイントを説明

①革靴の汚れを落とす
まずは革靴についた汚れやホコリをしっかりと除去しましょう。汚れをとる時は、靴磨きの際に使用するブラシ(馬毛や豚毛のブラシ)でOKです。

②革靴の手入れ後に防水スプレーをかける
基本的に防水スプレーは、靴磨きの後に噴きかけるのがセオリーです。まずは革靴の表面を靴磨き粉でしっかり磨き上げ、革を保湿しましょう。磨き終わったら、最後に防水スプレーを噴きかけておしまいです。噴射直後は、空気と一緒に勢いよく液が飛び出してきます。液体のカタマリが革靴の一部に付着するのを防ぐために、1秒程度、スプレーを空噴きしてください。噴射が安定したら、そのまま革靴に噴きかけましょう。

③日陰干しをする
スプレーをかけ終わったら、革靴を陰干ししましょう。絶対に日向で乾かすようなことはしないでください。「日焼け」や「ひび割れ」の原因になってしまいます。日陰干しが終わり、一日経っていよいよその革靴を履く段階になったら、最後に靴拭きの布でサッとひと撫でしてみてください。美しいツヤと光沢が出ているのがわかるはず。この瞬間こそが「手入れをした甲斐があった」と思える至福のひとときです。

まとめ

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いかがでしょうか。
革靴にとって防水スプレーが、いかに大切なのかをおわかりいただけたかと思います。革靴は愛情をこめれば長く履き続けることのできるアイテム。靴磨きと合わせて防水スプレーをこまめにかける習慣をどうか忘れないでください。

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